監禁日記

※この物語はフィクションです。

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 現在、私が置かれている状況について簡単に書きたいと思います。昨日の夕方頃、気が付くとある部屋に居ました。ある部屋というのは今まさに私がキーボードをたたく音だけが響いているこの部屋です。基本的には普通の部屋なのですが書籍の量がやや多いのが印象的な部屋です。

 

 昨日、目を覚ますとこの部屋(仮にA室とします)にいることに気が付きました。A室の中央には段ボール箱が5箱ほど積み重なっており、その中を調べてみると英語、数学、国語、世界史、化学、物理などの高校生が使って学ぶ参考書がところせましと並んでいることが分かりました。

 

 段ボールからそれらの参考書を出していると一枚の紙が数学の本から滑り落ち、それを拾うとこのように書いてありました。

 

「これらの参考書・教科書を使って勉強せよ」

 

 わたしはすでに50歳も半ばにさしかかろうとしています。この年齢になって高校生の勉強なんてと正直思いますし、自分が学生の時勉強なんて第一好きではありませんでした。

 

 この世のありとあらゆることには意味がある、という人がよくいます。この世のありとあらゆることには意味があると思わなければやってられないというのが本当なのではないかと私は思います。まさに私が今A室に(おそらく)監禁されているのも何か意味があるはずだと思わなければやってはいられないのです。

 

勉強をしなくてはどうやらこの部屋からは出られないようです。